みなさん、こんにちは!
翔栄ファーム・龍ヶ崎農場(茨城県)の黒崎裕也です。
いつも、私たちが育てた野菜をご購入いただきありがとうございます。
これからのシーズン、楽しみな季節の野菜が「菜の花」。
ビセットプラザの店頭にももう並び始めていますが、翔栄ファームでは、いろいろな「菜の花」が収穫できます。
今回は、翔栄ファームで育てている「菜の花」についてご紹介いたします。
※こちらは2021年の記事になります。2022年度は通販サイトでの販売はありませんのでご了承ください。
菜の花って何の花?
翔栄ファームでは、14種類の野菜の「菜の花」を育てています。
それぞれ、生育具合が異なりますので、これから、4月の終わりごろまで「菜の花」が楽しめます。
という話をすると、多くの方が
「14種類って、菜の花ってそんなにたくさん種類があるんですか?!」
と驚かれます。
確かに、町の八百屋さんやスーパーで売られている「菜の花」は、1種類ですよね…。違っても産地やサイズぐらい。
実は、一般に売られている「菜の花」=「菜花」は、食用に開発された品種で、野菜としてわざわざ育ているものです。
いくつか種類がありますが、外見がほとんど一緒なので、違いはあまりわからないかもしれません。
でも、「菜の花」って本当は、「アブラナ科」の花芽のことなんです。
「アブラナ科」…というと馴染みがないかもしれませんが、
白菜
キャベツ
チンゲンサイ
カブ
からし菜
といった野菜は、全て「アブラナ科」です。
意外なところでは、カリフラワーやブロッコリーも含まれます。
つまり、これらの野菜の花芽は、みんな「菜の花」なのです。
ただ、野菜を収穫した後、花を咲かせるまでは時間がかかります。
そこで、一般的な農業では、野菜を収穫した後、すぐに畑を耕して次の作物を育てます。
「菜の花」を収穫したい場合は、そのシーズンに食用の「菜の花」を育てる方が、効率的で利益があがります。
その結果、店頭にならぶ「菜の花」はみな同じような品種になる訳です。
翔栄ファームは、畑の広さ的に余裕があるのと、土の力を活かすことを考えると、無理なペースで続けて野菜を作ることはありません。
そして、なるべく自家採種(種をとって次のシーズンはその種から育てる)を心掛けていますので、「アブラナ科」の野菜を収穫した後も、花まで育てます。
その結果、春先には、いろいろな種類の「菜の花」が楽しめるようになります。
食べごろは花が咲くころ?
これから4月の終わりごろまで楽しめる「菜の花」ですが、その食べごろをご存じですか?
店頭で見かける「菜の花」は緑が美しい蕾(つぼみ)の状態が一般的ですが、実は、一番美味しいのは「花が咲いている状態」。このタイミングが、最も甘味があってお勧めです。
ただ、流通の際に、花びらが散って大変なことになるので、一般的には花が咲く前に収穫してしまいます。(この状態でも美味しい野菜ですが…)
翔栄ファームでは、花が若干咲いているぐらいのタイミングで収穫して皆さんにお届けしています。
※ですので、箱やビニールの中で花びらが散らかっていることもあるかもしれませんので、そこはご了承くださいね。
カブ(木曽紅カブ)の菜の花
菜の花の王様「白菜」は別格?
ほろ苦くて、歯ごたえも楽しめる「菜の花」は、どの野菜のものも美味しく食べられます。
ただ、その中でも別格なのが「白菜」の「菜の花」です。
甘味が特に強く、花も茎も太くて食べ応えが抜群。
普段、市場にはなかなか出回りませんので、ビセットプラザの店頭で「白菜」の「菜の花」を見かけたら、即ゲットしてください!
そのぐらいお勧めです。
白菜(野崎2号)の菜の花
翔栄ファームの「菜の花」
翔栄ファームでは、こんな野菜たちの「菜の花」を育てています。
・白菜:野崎2号
・カブ:木曽紫カブ、飛騨紅カブ、金町こかぶ
・キャベツ:サクセッションキャベツ
・水菜:紅法師(べにほうし)
・からし菜:赤リアスからし菜、パーマグリーン
・チンゲンサイ:中生チンゲンサイ(なかて―)
・体菜:雪白体菜(せっぱくたいさい)
・ブロッコリー:ドシコ
・カリフラワー:野崎早生(のざきわせ)
・健命寺野沢菜(けんめいじのわざな)
・東京べか菜
ちょっと聞きなれない名前の野菜もあると思います。
せっかくなので、紹介いたしますね。
飛騨紫カブの菜の花
白菜(野崎2号)
野崎2号は、明治時代に中国から伝来したハクサイを、大正に入って、日本の種苗会社が日本の風土に合わせて改良した品種です。
病気に弱いことから、今では生産量は減っていますが、大きく結球し、芯まで真っ白になるハクサイで、鍋料理に最適です。
カブ
翔栄ファームでは、3種類のカブを育てています。
木曽紫カブ
その名の通り、長野県木曽地方の特産のカブです。赤紫色の実をつけ、甘酢漬けにすると、薄紫色に。木曽地方では、乳酸発酵させて「すんき漬け」を作ります。
飛騨紅カブ
岐阜県高山市や飛騨市で栽培されている中型のカブ。
鮮やかな紅色になり、地元では「赤かぶ漬け」が作られています。やわらかくて、ほのかな甘みが特徴のカブです。
金町こかぶ
明治時代の末期に、金町(現在の葛飾区東金町)で生まれた東京生まれのカブです。
冬の寒い時期に収穫できる貴重な野菜として重宝されていました。甘味が強く、煮崩れしにくい特徴を持ちます。
左から木曽紫カブ・飛騨紅カブ・金町こかぶ
キャベツ・水菜・からし菜
サクセッションキャベツ(キャベツ)
明治ごろにアメリカから日本に入ってきたキャベツです。
濃い緑色をして、暑さや病気に強い品種。これを元に、現在、日本で流通している、さまざまなキャベツの品種が作られています。
紅法師(水菜)
数年前に生まれた新し品種の水菜。ポリフェノールの一種・アントシアニンを多く含み、鮮やかな赤紫色の葉柄と緑の葉のコントラストが特徴。
赤リアスからし菜(からし菜)
マイルドな辛みが特徴の「からし菜」の品種です。中央アジアが原産とされるリアスからし菜の葉が赤みを持ったもの。生食でも、さっと火を通して食べても美味しいです。
パーマグリーン(からし菜)
からし菜の品種である「三池高菜」と「ちりめんからし菜」から生まれた新しい品種。
ほんのりとした辛みが特徴の葉物野菜。
左からサクセッションキャベツ・紅法師・赤リアスからし菜・パーマグリーン
チンゲンサイ・体菜
中生チンゲンサイ
中華料理でお馴染みのチンゲンサイです。
中生(なかて)というのは、生育までの期間のことで、早いものから、早生(わせ/そうせい)、中生(なかて/ちゅうせい)、晩生(おくて/ばんせい)となります。
雪白体菜(せっぱくたいさい)
明治初期に中国から伝来した中国野菜・体菜(たいさい、たいな)の品種です。
チンゲンサイや小松菜に似ていますが、見た目とは違い青臭さがなく、生でも美味しい野菜です。「杓子菜(しゃくしな)」「つまみ菜」とも呼ばれます。
左から中生チンゲンサイ・雪白体菜
ブロッコリー・カリフラワー
ドシコ(ブロッコリー)
イタリアで100年以上前に生まれた固定種のブロッコリー。
固定種のブロッコリーは非常に珍しく希少性の高い品種です。
野崎早生(カリフラワー)
野崎早生(のざきわせ)は、大正時代に愛知県で生まれたカリフラワーの品種です。
その後、改良が続けられ、幅広く生産されています。
左からドシコ・野崎早生
健命寺野沢菜・東京べか菜
健命寺野沢菜(野沢菜)
健命寺野沢菜(けんめいじのざわな)は、いわゆる「野沢菜」です。
その由来は古く、18世紀に長野県野沢温泉の名刹・健命寺の住職が、京都から持ち帰った八王子蕪が、長野の気候風土に合って「野沢菜」になったとされます。
今でも原種が、健命寺で大切に育てられています。
東京べか菜
中国から伝来した山東菜から生まれた品種。
「べか」は、東京湾で使用された「のり採り」用の小型船「べか舟」のこと。葉っぱの形が「べか舟」に似ていることから命名されたとされます。
白菜に似た、癖のない味わいが特徴。
左から健命寺野沢菜・東京べか菜
自然の「菜の花」はとても手間がかかる野菜
先ほど、店頭に並んでいる「菜の花」は、そのシーズンに、食用の品種を育てたもの…というお話をしました。
主に、収益面が理由なのですが、もう1つ理由があるかもしれません。
「菜の花」は、野菜を収穫してから「菜の花」まで育てるには、かなり手間がかかるのです。
特に、越冬させるのが大変で、厳寒期を乗り越えるためには、土を保温する必要があります。(冬の畑の土は氷のように冷たくなります!)
翔栄ファームでは、無農薬のもみ殻を根元に播いたり、不織布やビニールトンネルを、それぞれ2重で設置するなど、手厚く保護しました。
ただ、単純に暖かければ良い訳でもなく、気温に合わせて何回も何回もトンネルを開け閉めして、温度調節をする必要があります。
また、翔栄ファームは農薬もを使わないので、除草や害虫対策も大変です。
でも、その手間をかけるからこそ、これだけいろいろな種類の「菜の花」が収穫できるのかな、と思います。
翔栄ファームの「菜の花」は「しぜんとくらそ」でもご購入いただけます
※こちらは2021年の記事になります。2022年度は通販サイトでの販売はありませんのでご了承ください。
翔栄ファームの「菜の花」は、ビセットプラザの店頭の他、翔栄ファームが参加しているマルシェなどでご購入いただけます。
遠方の方は、通販サイト「しぜんとくらそ」でもご購入いただけますので、ぜひ、ご活用ください。
なお、翔栄ファームでは14種類の「菜の花」を育ていますが、それぞれ生育具合が異なります。
その時、もっとも美味しい「菜の花」を出荷していますので、種類については、何が登場するか、どの時々のお楽しみです。(なるべく白菜はいつもあるようにしたいです)
また、最も美味しくなる「花が咲いたタイミング」に近づけるため、若干花が咲きかけた状態で出荷いたします。
その為、輸送中に箱や袋の中で、花びらが散らかってしまうことがあるかもしれません。
その点はご了承ください。
端境期で野菜の種類が非常に少ない春先。
貴重な野菜である「菜の花」で、ぜひ、春の味わいを満喫してくださいね。