◆ 教えて!寝かせ玄米って何?
寝かせ玄米は「酵素玄米」ともいわれ、玄米を小豆と塩を加えて高圧力(70℃~74℃)で炊き、3日間ほど寝かせて(保温)して熟成させたご飯のことを言います。
寝かせることで水分がぬけ、もっちりと柔らかく消化がいいのが特徴です。熟成させることで栄養価が増し、保温すればするほど甘みが増します。
玄米は完全食と言われており、栄養素がたっぷり、身体にいい食べ物ですが独特の臭い、パサパサ感、消化が悪いなどの理由で食べられないという方が多いようです。
そんな方におすすめなのが寝かせ玄米(酵素玄米ご飯)です。
一緒に炊く小豆(あずき)は「しょうず」とも呼ばれ、ポリフェノール、不溶性食物繊維、たんぱく質、ビタミンB1、鉄分、カリウム、サポニンなど免疫力アップ、アンチエイジングなどの効果が期待できます。
寝かせることで小豆のたんぱく質(アミノ酸)が玄米の糖分と反応し、酵素が活発になり発酵が進むので健康にいい効果が増加すると言われています。
発酵が進んでいる様子は保温した玄米ごはんの褐色がより濃く変化してくることで確認できます。
これはメイラード反応と呼ばれるもので「メラノイジン」という物質を生み出しています。この物質が抗酸化作用、血糖値の正常化、ダイエット効果、デトックス、美肌、むくみ解消、動脈硬化、高脂質予防、整腸作用など血液をサラサラにして若さを保つ働きがあると言われています。
◆ 炊く前に何を準備したらいいの?
その1.ゼロ活力鍋(今回はこれを使用しました):玄米が炊ける炊飯器、または圧力鍋
ゼロ活力鍋は圧力鍋の一種です。 普通の圧力鍋との違いですが、簡単にいえば、圧力が違います。通常の圧力鍋(0.7~1.0kg/cm2)に対して活力鍋(1.46kg/cm2)は高圧です。 高圧に出来るため調理温度も高温になります。普通の鍋は100℃、圧力鍋は約120℃、そして活力鍋は128℃が調理温度になります。
ただ、圧力鍋も活力鍋でも同じ事がいえますが、時間が短縮出来るのは加圧時間(沸騰してからの調理時間)だけですから、水が沸騰する時間や蒸らし時間の違いはありません。ちなみにゼロ活力鍋の〝ゼロ〟の意味ですが、由来は「0分料理」から、沸騰して火を止めてからは余熱で調理が可能になるので、調理時間がゼロ、という意味です。通常の圧力なべは圧力がかかってから何分か加圧する場合が多いです。
まとめると、
圧力なべ:圧力調整機構が付いた鍋のこと。鍋を密閉し、圧力を加えることで高温調理が可能となり、固い食材も短時間でおいしく調理することができる調理器具です。
ゼロ活力なべ:圧力鍋の一種で今回使用した鍋は家庭用の圧力鍋としては世界最高クラスの調理圧146kPa(一般的な圧力鍋の約1.6倍の圧力値)で鍋内部も約128℃の高温となります。通常の圧力鍋より圧力が高く高温調理ができることから、高速調理が可能となります。
その2.保温ジャー:炊けた玄米を発酵させるために70℃~74℃で保温できるもの
ふつうの炊飯器での保温や保温ジャーでは温度が低すぎて何日間も保温することができません。
最近では酵素玄米が作れる炊飯器が販売されています。酵素玄米炊飯器なら発酵に最適な温度で保温できる機能が付いていますので酵素玄米ご飯を炊いて保温することができます。
*ここで注意しましょう!
普通の炊飯器は白米を炊くものなので酵素玄米を作ることができません。普通の炊飯器の保温の目的は、雑菌の繁殖を防いで、ご飯の品質を保つことですので酵素玄米を発酵させるには温度が低すぎます。
酵素玄米を正しく、美味しく作るためには圧力が1.8~1.9気圧、保温温度も69度~80度くらいまでの設定が可能な圧力鍋と保温ジャー、炊飯器の場合は圧力炊飯器を使いましょう。
何日も保温し続けて、腐ってないの?と気になるところですが、正しく炊かれ、正しい温度で保温し発酵された酵素玄米は10日後でも全く問題なく食べることができます。
玄米を炊くための圧力鍋(炊飯器)、玄米を発酵させるために保温する保温ジャー、先ずはこの2つを準備しましょう!
準備が出来ましたら実際に、
◆ 酵素玄米ご飯を炊いてみましょう!
材料(酵素玄米ご飯を5合作る場合)
玄米 5合(900cc)
*内1合(180cc)をもち米にするとさらにモッチリ!
*玄米は無農薬のものを選びましょう。
小豆 1/4カップ(50cc)
塩 小さじ1
水 1100cc
*水素水を使用すると美味しさがアップします!
作り方
1.玄米と小豆をさっと洗います。今回は水素水を使用しています。
1回目:簡単にすすぐ程度に汚れをとり水を捨てます。
2回目から数回:きれいな水素水に変えてしっかりとかき混ぜながら洗います。
洗うときのコツ!
*玄米どうしをこすりつけるように洗います。玄米の表面に傷がつくことで水が浸透し柔らかく炊きあがります。手が冷たい場合は泡だて器などを使いましょう。
*玄米が隠れる程度の水を入れて半日~1晩ほど浸水させるとさらに美味しく炊きあがります。
2.水気を切り、圧力なべに移し、小豆、塩、水を加え軽くかき混ぜます。
*小豆は虫食いのものを取り除き綺麗に洗い、水気を切っておきます。
3.おもりをセットして強火で圧力が上がるまで待ちます。
おもりが大きく左右に揺れたら弱火で15分加熱します。火を止めて圧力が下がるまで待ちます。
4.炊きあがったら保温ジャーに移し保温します。数日寝かせて発酵を待ちましょう。
上手に発酵させるコツ!
「1日1回はかき混ぜましょう。」
天地替えすることで玄米が空気に触れ発酵が進むようです。
圧力鍋で炊いた玄米が徐々に発酵する様子を見てみましょう!「寝かせ玄米」の完成です!
◆ ふっくら玄米ご飯が炊けました!
玄米ご飯を保温ジャーの中で発酵させて酵素玄米ご飯「寝かせ玄米」にします。発酵の様子を炊きあがりの日から見ていくとご飯の色の変化にお気づきかと思います。
赤茶色が濃くなるにつれて発酵が進んでいます。3日目以降が酵素玄米ご飯としてお召し上がりいただくのに最適な状態となりますので是非お好みのタイミングを見つけて「寝かせ玄米」をお楽しみください。
1日目
ふっくらと炊きあがりました。玄米のプチプチ食感が少し残っていますがこれが好きな人も・・・。
2日目
1日目より赤茶色に変化しました。
プチプチ食感がなくなり食べやすい柔らかさに。ほどよい甘みも出て、水分が飛んだのでもちっとしてきました。
3日目
より赤茶色が増してきました。
もちもち感がさらにアップし、柔らかく、甘味とコクも増してきました。これからが食べごろです。
4日目
より赤茶色が濃くなり、もちもち感、柔らかさが増加しています。甘味、コク、旨味がさらに増し深みのある味わいになりました。
酵素玄米ご飯特有の香りが出てきます。日が増すにつれ香りが強くなりますので個人差がありますが苦手に感じられる方は早めに食べましょう。
5日目
より赤茶色が濃くなり、もちもち感、柔らかさが増加しています。
甘味、コク、旨味がさらに増し深みのある味わいになりました。が、長く保温をしているせいか表面は少しパサつく箇所もでてきました。
保温ジャーの蓋を長く開けたままにしないよう注意してときどきよくかきまぜましょう。
保温しておける期間は約10日ほどですが、日がたつにつれ乾燥してしまうので1週間ほどで食べきるくらいがおすすめです。
お好みの熟成時に冷凍保存してしまうというのもいいかもしれません。冷凍後約2週間ほどは美味しく食べられます。
「冷凍したら解凍の際に加熱することで熱に弱い「酵素」が失活し、成分が失われてしまうのでは?」
と心配ですよね。
「酵素玄米ご飯が健康に良いのはもちろん酵素でしょ。」と思いがちですが、
実際は酵素玄米にどのような酵素が含まれているのかやその酵素を摂取した場合の効果などは明らかになっていないようです。
酵素玄米ご飯が栄養の点で優れていると言われているのは、材料の玄米や小豆が含む栄養成分に熟成によって生まれるメラノイジンや、発芽させた場合は発芽*によって増加するGABAなどの成分が加わっているためで加熱することで失われると心配されている「酵素」そのものによるのではないとされています。
いずれも解凍程度の加熱によって失われるものではないので、安心して冷凍保存をお試しいただき酵素玄米ご飯を美味しくお召し上がりください。
*発芽:発芽玄米と呼ばれるもので発芽することで「GABA(γ-アミノ酪酸)」という成分が大幅にアップします。
玄米を2~3日浸すことで角のようなとがったものが出てきますので自宅で簡単に発芽させることができますが毎日水を変え空気にさらすなど玄米を腐らせないよう注意が必要です。